大福の戯言

4人の子育てと仕事の狭間で思うことや、日々の出来事などを記していきます。

合唱の季節

中学三年生息子の合唱祭があった。

近頃毎朝私が目覚めると階下にある息子の部屋から合唱祭の歌が聞こえてきて、
ああ、今日もやってるな。がんばれ
と思っていた。
家族の中でも下の子達が歌詞を覚えて勝手に歌ったりするくらい、よく練習をしていた。男子のリーダーも任された。
「公園で練習してくる」、と出かけていくこともあった。
メンタルすごいな、と、不審者扱いされないかな、という心配と驚きと応援の混ぜこぜの不思議な気持ちのまま送り出した。
 
先日、その合唱祭の本番があった。我が子フィルターがかかってはいるものの、全員の優しさや気持ちが一つになっている感じがとても心地よく本当に素晴らしい合唱だった。
我が子の成長だけではない、合唱そのものの力で感動し涙がダーとでた。まさに、ダーだった。しゃくりあげるわけじゃないけど止まらない涙が自分でも不思議だった。
「高校は合唱部に入ったらいいね!」
などと私と夫で勝手に盛り上がった。(余計なお世話!)
ちなみに一緒に行った四歳児は、はじめのうち静かにと注意されるのがイヤで、それでもお歌が聞きたい〜!!とロビーで泣くので、なんとか頑張って客席へ入り、お兄ちゃんのクラスが始まってすぐ眠りに落ちた。私としてはありがたい。よくできた子です。
 
息子が帰宅してすぐに、あなたのクラスの合唱がどんなに素晴らしかったかを伝えたら、喜んだもののいまいち反応がぼんやりした。
どうしたのかと思って聞くと、
学年で一番うまいとされていたクラスの精鋭たちがインフルエンザでごっそり休んでしまったらしく、それで本番の合唱はボロボロで、これなら息子のクラスが当然勝つよね、という状況になってしまったらしい。
ようは、ライバルのいないオリンピック。
そうだね、勝って当たり前はつまらないよね。
才能があるといわれるあのクラスを負かして下剋上一位を取ってやろうぜ!という気持ちでがんばってきた、それが不完全燃焼で終わってしまったのだという。
あの素晴らしい合唱の裏にそんな思いがあったのかと、驚いたし切なくなったし人生だなあとも思ったら。
「マスク無しで歌えるようになった代償だね、しょうがないっすね。」
という息子はあきらかに煮えきれない様子だった。
その様子を見てたら、なんだか人生って一生懸命やってるといいもんだねと思えた。